おわり

 

 

久しぶりにひろしから連絡が来て、

借りてた本を持ってるかのラインだった。

 

 

気持ちもだいぶ落ち着いた私は、

その本が又貸しで借りていることも思い出し

普通に悪いことしてるな、返しに行こうとすぐに思った。

 

 

 

タイミングが合えば、顔を合わせてもいいな。

ひろしを好きになったことで気づいたことが多すぎて自分の考えや行動を180度変えた。

誕生日も近いし、お詫びも兼ねて、

感謝を伝えてお酒でもあげようかと思った。

 

 

 

本とお酒を渡して

バイバイのつもりだった。

 

玄関先。

本の入った紙袋を渡した後

 

久しぶりで少しぎこちない空気を破るように

ひろしが言った。

 

 

少し寄ってく?

 

 

ううん、ここでいい。

 

 

寄ってきなよ。

 

 

…。

 

 

つい部屋に上がってしまった。

 

 

 

なんでその話になったのか、それはすごく自然な流れだった。

 

 

 話すつもりではなかった事。

あえて私がひろしに会わないようにしていたこと。

その理由やひろしにあってから、いろんなことに気づき考え方や思考が変わってきたことも。彼氏ができたことも。

ひろしに対しての感情も自分の弱い部分も

変に隠さず自分が感じたことをそのまま話した。

 

ひろしは私がこの話してくれたことを嬉しいと言った。続けて、ひろしも

会わない間いろんなことへの考え方が変わってきたことや、私が話したことで自分の学生時代の話をしてくれた。

弱い部分や、深い感情を隠さず話してくれた。

 

 

そして、なぜひろしが嬉しいと感じたかよくわかった。話を聞き、話をしてくれたことに素直に嬉しく思った。

 

 

ほんとは、別に、

本をどうしても

返して欲しかったわけではないんだけど、

コンタクトを取るためにも連絡をした。

なつがどういうふうに反応するか様子を伺ってたし、玄関先で寄ってきなって言ったのには、結構勇気が必要だったと。

時折思い出して、趣味もあって深い話もできる人はいないからなつは特別だって、

あの頃のなつの存在は大きかったと。

 

 

なつは特別だと何度も言っていた。

ありがとうとも何度も言っていた。

 

 

無論私にも、ひろしは特別で

短い人生ながらターニングポイントに近いものがあり、

一生忘れることのない人だと思う。

 

 

 

こんな会話をするもんだから、

やっぱり心地よくて。

 

 

 

仲良くなっただけあるなと、恋人や好きな人には出来ないけど、魅力的で、好きだなと思った。

 

 

 

 

たぶん私は今日以降ひろしに会わない。

私もひろしももっと大人になれたら友達になれると思うけど。

恋愛的な意味で寂しくなった時は、ひろしのためにも助けることはできないけど、もし他のことで何かあったら全力で助けてあげる。

 

 

 

そういうと、もう少しこのままでいたいと抱きしめて離さなかった。

 

 

 

上手に甘えて、帰ろうとすると寂しそうにして離そうとしなかった。

 

 

 

それに応じることは、自分の為にも、さとうのためにも、ひろしのためにも、しなかった。

 

 

 

特別感というか

変な満足感はあり

寝不足も講じて

フワフワとして

帰った後もすぐ自分なりに整理ができていなかった。

 

 

 

 

半日経ってやっとみえてきた。

 

 

 

 

結局やっぱりどこか信用出来なかった。

嘘偽りないことだってあると思う。

けどどこか信用できなくて、

恋愛感情が極めて少ないこの気持ちでさえも

どこか不安で委ねることができなかった。

本当に深い部分での安心感がなかった。

 

 

特別感を与えてくれる会話を自然としてくれるのを素直に受け取れず、

彼の弱い部分なんだと感じてしまった。

それを自然にしてることが、今の私にとっては、どこか不信感を感じた。

あくまで冷静になって思った事であって、

会ってる時には思わなかった。

 

 

 

ひろしが悪いわけでもなく、

ひろしが女心をわかっていて、ずるいほど魅力があることは再認識させられた。

 

 

 

甘え、弱い部分を見せるのがうまいんだなと。

つい時間が押しても、私の寝る時間が少なくなるとわかっていても子供のように甘えてきた。

悪い気はしなかったけど、

 

 

その時気づいた。

 

 

ひろしがするような、甘えや弱い部分を見せることをさとうはしないなと。

 

 

そう思った時、この間のやりとりを思い出した。

 

 

さとうと夜帰宅して、すぐにいちゃいちゃしたがった私。

さとうは寝る準備してからにしようと。

もし、先にいちゃいちゃしたらまた化粧したまま寝ちゃうよ、なっちゃんの肌が好きだからそのまま寝て欲しくないって。

誘惑しても、

俺もめちゃしたいけど、ダメ。

といって、きかなかった。

 

 

 

なかなか恥ずかしいやりとりなんだけど、

私のためを思い甘やかさなかったさとうに対して

すごく愛を感じたのだ。

 

 

 

私に負担になるようなことは、決してしてきたことがない。

 

 

 

さとうにできて、ひろしにできないこと

ひろしにできて、さとうにできないこと

  

 

 

 

比較する必要もないんだけど、

 

 

当たり前にあって

 

 

どちらもそれぞれ違う魅力があって。

 

 

でも、

今の私にとって

恋人にしたいと思えるのは

やっぱりさとうだった。

 

 

 

ひろしと会わない半年間

私もひろしも少し変わった。

 

 

 

特別には変わらなくて、魅力的なところも変わらない。

むしろ、そう思わせられてるだけなのかもしれない。けど

 

 

 やっぱり話しが合うのも、空気が合うのも、半年間会わなくても何も変わらずあの頃の空気で話せるのも私にとって特別だからなのかもしれない。

 

 

 

お互い

大人になって

また思考が変わってきた話や成長できた話ができたらいいなと思う。

 

 

周りの人に迷惑をかけた恋愛だった。

特に友達には。かなには。

ひどいことをした。ものすごく反省してる。

 

やっぱりどこか自分主体な根本があったから、

ふとした時そういうことをしてしまったんだと思う。

 

 

 

今の自分ではしない。

 

 

 

でも、後悔できなくて。

 

 

得たものが多すぎて。

 

 

 

まさか一年前、こんな変化の起こる恋愛になるなんて思っても見なかった。

 

 

 

 

きっかけをくれて、ありがとう。

 

 

 

わたしも頑張るから、

がんばって。

 

 

 

強くなれますように。